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社会労働保険について

1.健康保険

(1)わが国の健康保険制度

健康保険は、会社、工場、商店などで働く人が加入する医療保険制度で、働く人やその家族が病気やケガをしたり、又は死亡・出産をした場合に、その治療費や手当を支給する制度です。


(2)健康保険の被保険者

イ.被保険者

適用事業所に雇用されている一般従業員は、当然、被保険者になりますが、パートタイマーが健康保険の被保険者として取り扱われるかどうかは、雇用されている適用事務所で常用的雇用関係にあるか否かによります。
常用的雇用関係にあるか否かを判断する目安は、つぎのとおりです。
(イ)1日又は1週間の所定労働時間が、その事業所の通常の労働者(正社員など)のおおむね4分の3以上であること。
(ロ)1ヵ月の所定労働日数が、その事業所の通常の労働者(正社員など)のおおむね4分の3以上であること。

*「所定労働時間」とは
事業所において、特段の命令がなくても労働契約上、当然労働すべき時間として定められた時間です。就業規則、労働協約や労働契約などで定められた始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間を除いた時間をさします。

ロ.適用の範囲

常時5人以上の労働者を雇用する事務所や、5人未満であっても法人の事務所はすべて適用になります。


(3)「被扶養者」とは

被保険者によって主として生計を維持されている直系尊属、配偶者、子等で、収入がないか、あっても一定額未満の者が被扶養者として認定されます。具体的な基準はつぎのとおりです。

イ.被扶養者が同居の場合

被扶養者となる対象者の年収が130万未満(60歳以上の人または障害者は180万未満)で、被保険者の年収の半分未満であること。ただし、被扶養者の年収が被保険者の年収の半分以上であっても、被扶養者の収入が130万円未満で、被保険者の年収を上回らず、被保険者の収入がその世帯の中心をなしていると認められる場合には、被扶養者として認定されます。

ロ.被保険者と別居している場合

被扶養者の対象者の年収が130万円未満(60歳以上の人または障害者は180万円未満)で、被保険者からの仕送額(援助額)より少ない場合
なお、被扶養者の認定を受ける場合には在学証明書(学生の場合)、診断書(療養中の場合)、身体障害者手帳の写し(障害者の場合)、住民税非課税証明書等(無収入の場合)の書類が必要です。


(4)保険料の負担

健康保険では、被保険者一人ひとりの月給を区切りのよい幅で区分した標準報酬月額(1級(92,000円)〜40級(980,000円))にあてはめ、これをもとに保険料が計算されます。保険料は標準報酬月額に1000分の85を乗じた額を労使で半分ずつ負担します(政府管掌の場合)。健康保険組合の場合はそれぞれの保険料率と負担割合を規約で定めます。
なお、育児休業期間中の保険料は被保険者負担分が免除されます。(ただし、事業主に申し出た正規の休業に限ります。)

*「標準報酬」とは
健康保険法、厚生年金保険法および船員保険法において、保険料・保険給付の算定基礎とされているもの。報酬・徴収・給付の額を一定にするため、あらかじめ収入月額の等級をつくり、これに応ずる標準報酬を月額と日額について定めている。

(例)標準報酬月額200,000円の場合
政府管掌健康保険料17,000円
(うち被保険者(本人)負担8,500円)
標準報酬月額98,000円の場合
政府管掌健康保険料8,300円
(うち被保険者(本人)負担4,165円)

また、賞与(年3回以内)に関してもその額の1000分の8(本人負担1000分の3)が特別保険料として適用されます。
なお、国民健康保険に加入した場合の保険料は、市区町村ごとにその実情に応じて決められていますので、簡単に説明できませんが、典型的な例でみますと、9割以上の市区町村で所得割、資産割、被保険者均等割、世帯別平等割の4つを組み合わせた保険料の額を決めています。


(5)健康保険給付の一覧

●病気・けがをしたとき

給付の種類・条件・内容 手続き
療養の給付・家族療養費
 病院・診療所に被保険者証を提示すれば、必要な医療を治るまでうけられる。医師から処方せんをもらったときは、薬局で調剤してもらえる。ただし、次の一部負担がある。

本人−医療費の2割、薬剤費一部負担(

家族−入院2割、通院3割、薬剤費一部負担(


特定療養費
(被扶養者については、家族療養費として給付される)
 特定の大学病院などで高度先進医療をうけたときは、一般治療と共通する基礎部分が特定療養費として保険給付される。一般の保険医療機関または療養型病床群での特別室への入院、金合金などを使用した前歯部の治療、入院時の特別注文食品・特別の材料と調理による給食、予約診察または時間外診察などは、その基礎部分は特定療養費として保険給付される。また、紹介によらない特定機能病院における初診料の加算および紹介外来型病院における初診料担当分は自費となる。
健康保険を扱っている病院・診療所(特定承認保険医療機関)の窓口に被保険者証を提示。
入院時食事療養費
 入院時に食事の提供をうけたときは、食事療養の費用額から標準負担額(患者が支払う金額)を除いた部分が入院時食事療養費として給付される。標準負担額は1日760円(市区町村民税の非課税世帯など低所得世帯の人は1日650円(入院期間が1年間に90日をこえた場合500円)、低所得世帯などの老齢福祉年金受給権者は1日500円)である。(平成9年9月から)
被扶養者については、家族療養費として給付される。
高額療養費
1ヵ月の自己負担額が一つの病院・診療所(医科・歯科別、総合病院では各科別−入院・通院別)ごとに63,600円(市区町村民税の非課税世帯または生活保護世帯など低所得世帯の人は35,400円)をこえたときは、こえた分が請求に基づいて支給される。
自己負担額が30,000円(低所得世帯の人21,000円)以上のものは世帯ごとに合算して1ヵ月に63,600(低所得世帯35,400円)をこえた分が支給される。
同一世帯では1年間に4回以上高額療養費が支給される場合(多数該当)は、4回目以降は37,200円(低所得世帯24,600円)をこえたとき、こえた分が支給される。
高額療養費支給申請書を提出。
療養費・看護料・移送費・家族移送費
やむを得ない事情で非保険医にかかったときや被保険証を提示できないとき、国外で医療をうけたとき、あるいはつきそい看護の看護料・歩行困難な患者の移送費・コルセット代などは、保険者の承諾を得ればあとで払いもどしを受けられる。
療養費(看護費、移送費)支給申請書を提出[看護料・移送費は事前承認が必要。]
傷病手当金
療養のため仕事を継続して3日休んだのち、4日以上休んで給料をもらえないときには、4日目から欠勤1日につき標準報酬日額の6割が1年6ヵ月の範囲内で受けられる。
傷病手当金請求書に、給料支払い有無の事業主証明および医師等の意見をうけて提出。
訪問看護療養費・家族訪問看護療養費
在宅で、寝たきりの状態の方などが指定訪問看護事業者から訪問看護を受けられる。
指定訪問看護事業者に利用料として一部負担金として支払う。

)薬剤費一部負担

内服薬 1日につき1種類 0円
1日につき2〜3種類 30円
1日につき4〜5種類 60円
1日につき6種類以上 100円
外用薬 1処方あたり1種類 50円
1処方あたり2種類 100円
1処方あたり3種類以上 150円
頓服薬 1種類 10円
(注)ただし、生計維持者が市町村民税非課税の老齢福祉年金受給者と乳幼児(6歳未満)は無料


●出産したとき

給付の種類・条件・内容 手続き
出産育児一時金・配偶者出産育児一時金
妊娠4ヵ月(85日)以上で分べんしたときは、1児ごとに出産育児の費用として300,000円がうけられる。配偶者(被扶養者)が分べんしたときは、配偶者出産育児一時金300,000円がうけられる。
出産育児一時金請求書または配偶者出産育児一時金請求書に医師等の証明をうけて提出。
出産手当金
お産で仕事を休み給料をもらえないときは、分べん日(分べんが予定日よりおくれた場合は分べん予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は70日)から分べん日後56日までの期間、欠勤1日につき標準報酬日額の6割がうけられる。
出産手当請求書に、給料支払い有無の事業主証明および医師等の証明をうけて提出。
(注)出産育児一時金(配偶者出産育児一時金を含む)および
   出産手当金に関する医師の証明書や意見書は有料です。


●死亡したとき

給付の種類・条件・内容 手続き
埋葬料(費)・家族埋葬料
故人の標準報酬月額の1ヵ月分(最低100,000円)が支給される。
家族(被扶養者)が死亡したときは家族埋葬料として100、000円が支給される。
埋葬料(費)請求書または家族埋葬料請求書に事業主等の証明をうけて提出。


●退職したあと
(被保険者機関が継続して1年以上ある人が資格を失ったとき【埋葬料(費)を除く】

給付の種類・条件・内容 手続き
継続療養の給付
保険で診療をうけていた病気・けがについては、本人も家族も初診の日から5年間ひき続き医療をうけられる。
資格喪失後10日以内に継続療養受給届に医師等の証明をうけて提出し、交付された継続療養証明書を病院・診療書に提示。
傷病手当金・出産手当金等
傷病手当金または出産手当金をうけているか、うける条件を満たしているときは、期間が満了するまでうけられる。
資格喪失後6ヵ月以内にお産をしたときは、出産育児一時金・出産手当金がうけられる。
在職中と同じ(事業主の証明は不要。)
埋葬料(費)―3ヵ月以内の死亡の場合
資格喪失後3ヵ月以内、継続給付として医療・傷病手当金・出産手当金の給付をうけている間、またはうけなくなって3ヵ月以内に死亡したときうけられる。
在職中と同じ。


(6)継続療養

1年以上、引き続き被保険者だった人が被保険者の資格を失ったとき、退職前から保険で治療を受けていた病気やケガについては、本人も家族も、初診の日から5年の範囲内で、引き続き健康保険で医者にかかることができます。これを「継続療養」の給付といいます。「任意継続被保険者」((7)参照)の人は、任意加入の前に継続して1年以上の強制被保険者期間が必要です。
「継続療養」の手続きは、被保険者の資格喪失届と同時に「継続療養受給届」を資格喪失後10日以内に提出することになっています。

(7)任意継続被保険者

健康保険の被保険者期間が2ヵ月以上ある人が退職した場合には、引き続き2年間は、個人で健康保険の被保険者になることができます。(ただし、55歳以上58歳未満で退職した人については60歳まで)これを「任意継続被保険者」といい、在職中と同様の給付が受けられます。
この手続きは、退職後20日以内に住所を管轄する社会保険事務所又は所属していた健保組合で行います。なお、保険料については事業主負担がなくなるため、全額自己負担(ただし、負担上限額が決められています。)となります。

(8)退職者医療の適用を受ける人

国民健康保険の加入者のうち、厚生年金保険や共済組合などの被用者年金制度に長期加入して老齢(退職)年金を受けられる人及びその被扶養者は、一般の被保険者とは別に、健康保険の退職被保険者(被扶養者)として退職者医療が受けられます。ただし、老齢(退職)年金の受給開始年齢になっていなければなりません。

●退職者医療の給付
区分 退職被保険者 一般被保険者
通院 入院 通院 入院
本人 8割 8割 7割 7割
被扶養者 7割 8割 7割 7割

退職者医療の手続きは、年金受給権が発生すると年金証書が送られてきますから、年金証書を添えて年金証書到着日の翌日から14日以内に市区町村に届け出てください。
60歳後任意継続被保険者になった人は、任継の資格喪失後14日以内に、資格喪失証明書を添え、同様の手続きをしてください。

(9)育児休業期間中の保険料の免除

いままでは、育児休業の期間中は、収入がなくても保険料が徴収されていましたが、平成7年4月から、事業主を通じて社会保険事務所または健保組合に申し出ることにより被保険者が負担すべき保険料は免除となりました。ただし、ボーナスについての保険料は免除されません。
なお、事業主が負担する保険料については以前と同様です。

(10)健康保険のメリット

健康保険に入っていなければ、業務外の病気やケガで休業したとき賃金等の保障がありませんが、健康保険には傷病手当金という制度があり、一定の減収補償があります。
健康保険の被保険者と被扶養者では、病気やケガの治療等に係る一部負担金の額が違います。被保険者は2割負担ですが、被扶養者は入院2割、通院3割負担となります。

2.厚生年金保険

(1)わが国の厚生年金保険制度

厚生年金保険は、働く人の老後における生活の保障を主な目的とし、障害を受けたりあるいは死亡した場合にも年金や一時金を支給して、働く人やその家族の生活の安定を図る制度です。

(2)年金制度のしくみ

わが国の公的年金制度の最大の特徴は、一定年齢のすべての国民が国民年金に加入し、その国民年金から共通の給付として「基礎年金」が支給され、厚生年金保険や共済組合などからは、その加入期間や報酬に応じて、基礎年金に上乗せする報酬比例の年金が支給される二階建ての年金となっています。

イ.自営業者や学生は「第1号被保険者」
自営業者とその配偶者、無職及び学生等で公的年金制度に加入していない人は、満20歳から60歳になるまでの間、国民年金の強制加入者となります。これらを「第1号被保険者」といいます。

ロ.サラリーマンは「第2号被保険者」
民間企業の従業員は、厚生年金保険法の適用を受けることになりますが、入社から65歳になるまでの間または入社から退社までの間、厚生年金保険の加入者であると同時に、国民年金の加入者でもあります。
公務員等共済組合などの加入者も同様で、これらを「第2号被保険者」といいます。
なお、厚生年金保険及び共済組合などの加入者を総称して「被用者」といい、被用者が加入する公的年金制度を一括して「被用者年金制度」といいます。



ハ.サラリーマンの妻は「第3号被保険者」(*)
被用者年金制度の加入者の配偶者であって、公的年金制度に加入していない人は、満20歳から60歳になるまでの間、国民年金の加入者として扱われます。これらを「第3号被保険者」といいます。「第3号被保険者」の間は、自ら保険料を納める必要はありません。

*「第3号被保険者」に該当する人は、30日以内に自分で市(区)町村に届け出て手続きを行うことが必要です。

(3)厚生年金保険の被保険者

健康保険と厚生年金保険とは、適用される事業所や被保険者となる範囲は同一の基準で行われます。従って、健康保険に加入する人は、同時に厚生年金保険にも加入することとなります。厚生年金保険では、65歳になると年金の加入をやめることになっています。ただし、65歳になっても老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない人は、受給資格期間を満たすまで、任意に加入することができます。これを「高齢任意加入被保険者」といいます。
被保険者はつぎの4種類に分けられています。
・第1種被保険者−一般男子の被保険者
・第2種被保険者−女子の被保険者
・第3種被保険者−坑内員と船員(*)の被保険者
・第4種被保険者−任意継続被保険者

*船員は、医療保険等については船員保険の被保険者となり、年金については厚生年金保険の被保険者となります。

(4)保険料の負担

イ.厚生年金保険の保険料は、原則として標準報酬月額(1級(92,000円)〜30級(590,000円))に1,000分の173.5を乗じた額を労使で折半し負担します。

(例)標準報酬月額200,000円の場合
厚生年金保険34,700円
(被保険者(本人)負担分17,350円)

ロ.賞与に関しては、その額の1、000分の10(本人負担1,000分の5)が特別保険料として徴収されます。

ハ.育児休業期間中の保険料は、被保険者負担分が免除されます。(年金額の計算には算入されます。)

(5)年金給付の一覧

給付の種類 国民年金の給付 厚生年金保険の給付
老齢給付

老齢基礎年金

次のいずれかの資格期間を満たした人に65歳から支給

(1)加入期間が25年以上ある人

(2)大正15年4月2日以降昭和5年4月1日以前生まれで国民年金の加入期間が24〜21年ある人

(3)昭和31年4月1日以前生まれで厚生年金保険など被用者年金の加入期間だけで加入期間が24〜20年ある人など

*資格期間には、国民年金の保険料納付済期間のほか、第2号・第3号被保険者期間、昭和61年3月以前の厚生年金保険の被保険者期間、カラ期間などを含む。

*付加保険料納付済期間のある場合には、付加年金が加算される。

老齢厚生年金(65歳から)

厚生年金保険の被保険者だった人が、国民年金の老齢基礎年金の受給権を得たときに、老齢基礎年金に上乗せするかたちで支給。

特別支給の老齢厚生年金(65歳になるまで)は、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あり、老齢基礎年金の資格期間を満たしている次の人に65歳になるまで支給。

(1)60歳以上の人

(2)60歳以上で在職し、標準報酬月額と年金月額の8割の合計が220,000円に達するまでは賃金と併給される。また、標準報酬月額と年金月額の合計額が220,000円と超える場合は、一定の算式により年金額を計算する。

障害給付

障害基礎年金

初診日前に国民年金の保険料納付済期間(第2号・第3号被保険者期間などを含む)が加入期間の3分の2以上ある又は直近の1年間に保険料の滞納がない(初診者が平成18年4月1日前の場合に限る)被保険者が、次のいずれかに該当する場合に支給。

(1)加入中の病気・けがで1級または2級の障害者になったとき

(2)60歳から65歳前に1級または2級の障害者になったとき

*20歳前の傷病による障害者についても障害基礎年金を支給。

障害厚生年金

厚生年金保険の被保険者期間中に初診日のある傷病で、障害基礎年金に該当する障害が生じたときに、障害基礎年金に上乗せするかたちで支給。

*障害基礎年金に該当しないが一定以上の障害ある場合は、厚生年金保険独自の障害厚生年金(3級)・障害手当金を支給(この場合には、障害基礎年金は支給されない)。

遺族給付

遺族基礎年金

国民年金の保険料納付済期間(第2号・第3号被保険者期間などを含む)が加入期間の3分の2以上ある又は直近の1年間に保険料の滞納がない(死亡日が平成18年4月1日前の場合に限る)被保険者または老齢基礎年金の資格期間を満たした人が死亡したときに次の遺族に支給。

(1)18歳(障害者は20歳)未満の子のある妻

(2)18歳(障害者は20歳)未満の子

遺族厚生年金

厚生年金保険の被保険者期間中に死亡するか、被保険者期間中に初診日のある傷病がもとで初診日から5年以内に死亡したとき、1級・2級の障害厚生年金をうけられる人または老齢厚生年金の資格期間を満たした人が死亡したとき、次のいずれかの遺族に支給。

(1)遺族基礎年金の対象となる遺族(18歳(障害者は20歳)未満の子のある妻または18歳(障害者は20歳)未満の子)

(2)18歳(障害者は20歳)未満の子のない妻

(3)55歳以上の夫・父母・祖父母(支給開始は60歳)あるいは18歳(障害者は20歳)未満の孫

*遺族基礎年金が支給されない遺族には厚生年金保険独自で遺族厚生年金が支給される。

上記のほかに、第1号被保険者だけを対象に支給される寡婦年金・死亡一時金がある。
(注)表中18歳未満の子とあるのは、
   18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子。

(6)老齢年金とは

老齢基礎年金と老齢厚生年金とがあります。

(7)障害年金とは

障害厚生年金と障害基礎年金とがあります。
障害厚生年金は、厚生年金保険の加入期間中に初診日(初めて医者にかかった日)のある病気・ケガで
障害認定日(初診日から1年6ヵ月を過ぎた日、またはその間に治った場合はその治った日)に1級〜3級の障害の状態に該当した場合に支給されます。
また、病気・ケガが5年以内に治り、3級の障害よりやや軽い障害に該当するときは、障害手当金が支給されます。
障害基礎年金は、障害程度が1級または2級の場合で国民年金から支給されるものをさします。



(8)遺族年金とは

遺族厚生年金と遺族基礎年金とがあります。
遺族厚生年金はつぎの事由に該当した遺族に支給されます。

イ.被保険者が死亡したとき
ロ.被保険者期間中に病気、ケガで初診日から5年以内に死亡したとき
ハ.1級または2級の障害厚生年金を受けていた人が死亡したとき
ニ.老齢厚生年金を受けている人、または受けられる資格期間を満たした人が死亡したとき

遺族基礎年金は、つぎの人が死亡した場合、子のある妻または子に支給されます。

イ.国民年金の被保険者
ロ.被保険者であった人で、60歳以上65歳未満で日本国内に住んでいる人
ハ.老齢基礎年金を受けている人、または受けられる資格期間を満たした人

*遺族厚生年金を受けられる「遺族」とは
死亡した人に生計を維持されていた妻(または夫)、子、父母、孫及び祖父母で、妻以外の遺族には年齢等の条件があります。
順位は妻、子が第一順位で、以下、子、父母、孫、祖父母の順になりますが、先順位が死亡すればそれまでで転給はありません。

(9)厚生年金保険のメリット

国民年金に比べると、厚生年金保険の年金額の方が有利です。厚生年金保険の保険料の半分は会社負担ですから、被保険者の保険料負担は国民年金の自己負担額と比べあまり変わらないはずです。

(10)厚生年金基金

勤務する会社が、厚生年金基金を設立していたり、同業者で設立した基金に加入していた場合は、そこに勤務する人は、厚生年金保険の被保険者であると同時に、厚生年金基金の加入員となります。
基金に加入すると、基金に加入していた期間にかかわる老齢厚生年金より多い年金が受けられるようになりますが、上乗せ部分については、各基金の規約で定められています。また、短期間(10年ないし15年未満)で脱退したときは、基金連合会から年金が支給されるようになっています。
なお、基金に加入することによって、個人の負担が増えることは一部の基金を除き、普通ありません。


3.国民年金

(1)わが国の国民年金制度

国民年金は、日本に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての人が加入して、働く世代が保険料を納め、その時代の高齢の人々の生活を支えていくことを目的とし、合わせて加入者が障害を受けたり死亡したりした場合にも、年金や一時金を支給して、生活の安定を図る制度です。

(2)国民年金の被保険者

国民年金の被保険者は次の3種類に分かれます。

イ.第1号被保険者
日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人で、次のロ、ハに該当しないの農業や商店などの自営業者や学生が、第1号被保険者となり自ら国民年金保険料を納入します。夫が退職したときに妻が60歳未満であったときは、14日以内に、第1号被保険者に種別変更する届け出が必要です。
ロ.第2号被保険者
厚生年金保険の被保険者や共済組合等の組合員・加入者は、第2号被保険者として区分され、厚生年金保険料、共済組合等掛け金を納めることで国民年金分も納めたことになります。
ハ.第3号被保険者
上記ロの第2号被保険者の被扶養配偶者で、都道府県知事に認定された20歳以上60歳未満の人は、第3号被保険者となります。ただし該当した日から30日以内に、本人が市区町村長に届出ないと第1号被保険者の扱いになってしまいますから、健康保険証を添え必ず届けてください。届け出を忘れて後で届けた場合は2年間まで遡って適用してもらえます。第3号被保険者である期間は保険料を納める必要はなく、老齢基礎年金の年金額計算に組み込まれます。

(3)任意加入制度

国民年金の適用から外れている人のうち、次のような人は国民年金に任意に加入できます。ただし、老齢基礎年金の繰り上げ支給を受けている人は任意加入できません。

イ.日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人で、老齢(退職)年金の受給権者であるために適用除外になっている人。例えば女性の特例で60歳前に特別支給の老齢厚生年金を受けている人や減額退職共済年金を受けている人などです。
ロ.日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人。専業主婦が長く、かつ昭和61年4月前に任意加入していた期間がないか、あっても短い人はこの制度を利用して、最大5年分老齢基礎年金の年金額を増やすことができます。
ハ.日本国籍はあるが外国に住んでいる20歳以上65歳未満の人。
なお、昭和30年4月1日以前に生まれた人で、上記ロによっても老齢基礎年金の受給資格期間を満たさない場合は、特例的に70歳になるまで任意加入できます。

(4)基礎年金番号

従来年金番号は、各制度毎に付けられていましたが、平成9年1月より共通の基礎年金番号に整理統合されています。これにより、社会保険庁や社会保険事務所、市区町村からの連絡が合理化され、届け出忘れの防止、年金手続きの案内などのサービスが受けられるようになります。会社に勤めるときは会社を通じて住所の届け出が必要となります。

(5)保険料

第1号被保険者、任意加入被保険者は国民年金保険料を納めますが、保険料は月額13,300円(当分の間据置)となっています。なお、法定免除(障害年金受給者、特定疾病者など)に該当する人や、保険料を収めることが著しく困難と認められる人は保険料が免除されます。免除された期間についての老齢基礎年金の年金額は3分の1に減額されますが、10年以内であれば追納ができます。

(6)学生の保険料免除

学生(専門学校も可、ただしどの学校も夜間は除く)も第1号被保険者ですから、自分で保険料を収めなければなりませんが、収入がないのが普通ですから、親元で負担することになります。しかし、親元も余裕がないことが考えられるので、親元の収入を証明するもの(源泉徴収票など)を添えて保険料の免除を申請することができます。ただし、保険料の免除はその年度だけですから、毎年度申請する必要があります。

●学生の保険料免除の目安額(親元の収入)
* 同居 別居
国公立: 約675万円 約740万円
私立: 約770万円 約835万円

図表6(注)
国公立校の学生一人増につき次の額を追加。
同居約65万円、別居約130万円
私立の場合は
同居約160万円、別居約220万円

(7)国民年金の給付の種類

国民年金の給付には、自営業者などの第1号被保険者だけでなく、第2号被保険者(サラリーマンや公務員)や第3号被保険者(第2号被保険者に扶養される配偶者)にも共通の「基礎年金」と、第1号被保険者独自の給付があります。

イ.基礎年金
基礎年金には老齢、障害、死亡について支給する次の3種類があります。
(1)老齢基礎年金
(2)障害基礎年金
(3)遺族基礎年金

ロ.第1号被保険者独自の給付
(1)付加年金(月400円の付加保険料を納めた人が老齢基礎年金と一緒に受けられます)
(2)寡婦年金(結婚10年以上である未亡人が60歳から65歳にあるまでの間受けられます)
(3)死亡一時金(3年以上保険料を納めた人が亡くなったとき、遺族基礎年金をもらえない遺族が受けられます)
ニ)短期滞在外国人に対する脱退一時金(6ヵ月以上保険料を納めた外国人が帰国するときに受けられます)

(8)国民年金基金

国民年金基金は第1号被保険者だけが利用できる制度で、将来の年金額を増やしたい人は、国民年金基金にも加入して掛金(上限68,000円)を納めることにより、規約で定めた年金を受け取ることができます。現在、各都道府県ごとに地域型基金が設立されています。また、同一の職業で設立する職能型基金もあります。


4.雇用保険

(1)雇用保険のしくみ

雇用保険は、失業した時、または雇用の継続が困難となる場合、生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にするなど、その就職を促進し、あわせて、失業の予防や能力の開発、福祉の増進を図ることを目的とした制度です。

(2)雇用保険の被保険者

イ.適用事業所に雇用される正社員はもちろんのこと、パートタイマーでもつぎの要件を満たしていれば被保険者となります。
(1)1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
(2)1年以上引き続き雇用されることが見込まれること。
(3)年収が90万以上あることが見込まれること。

ロ.適用の範囲
雇用保険は業種、規模の関係なく労働者を雇用する事業はすべて適用されます。ただし、農林水産業で労働者が5人未満の個人経営の事業だけが当分の間、暫定的に任意適用事業とされています。

(3)被保険の区分

パートタイマーについては、1週間の所定労働時間や年齢により、つぎのような被保険者区分となります。


図表7(注)
65歳から引き続き同一の事業主に雇用されている方に限ります。65歳以降新たに雇用された方は、被保険者となりません。

(4)保険料の負担

雇用保険料の本人負担分は、賃金額の1000分の4です。(ただし、農林水産、清酒製造及び建設業に雇用される人は、1000分の5です。)

(例)月額賃金200,000円の場合
雇用保険料被保険者(本人)負担額804円(*)
月額賃金100,000円の場合
雇用保険料被保険者(本人)負担額408円(*)

*「一般保険料額表」による額

(5)失業等給付について

イ.失業等給付の種類

*教育訓練給付が平成10年12月に創設された。

ロ.求職者給付

失業者が求職活動をする間の生活の安定を図るために、次の給付があります。

(1)基本手当
一般被保険者(週所定労働時間30時間以上)
・受給資格……離職の日以前、1年間に賃金支払基礎日数14日以上の月が6ヵ月以上あること。
・日額……離職前6ヵ月間に支払われた賃金総額を180で割った額(賃金日額)に応じ、5割から8割の間で定められた額で、年齢に応じて上限額が設定されています。(図表8)
・所定給付日数……図表9

短時間労働被保険者(週所定労働時間30時間未満)
・受給資格・・・離職の日以前2年間に賃金支給基礎日数11日以上の月が12ヵ月以上あること。
・日額・・・一般被保険者と同じ。
・所定給付日数(図表9のとおり)

●基本手当日額(平成10年8月1日から)
年齢区分 賃金日額上減額 基本手当日額上減額
〜29歳 14,860円 8,920円
30〜44歳 16,510円 9,910円
45〜59歳 18,160円 10,900円
60から64歳 19,810円 9,910円
65歳以上 14,860円 8,920円

なお、最低賃金日額・最低基本手当日額は、

区分 最低賃金日額 最低基本手当日額
短時間労働被保険者 3,260円 2,610円
一般被保険者 4,330円 3,460円


図表9注
(*1)被保険者であった期間が1年未満である場合は、一律90日です。
(*2)短時間労働被保険者であった期間が1年未満の場合は受給資格は、ありません。

(2)技能習得手当、寄宿手当
一般被保険者、短時間労働被保険者で基本手当を受けている人が、ハローワーク(公共職業安定所)の所長の指示によって公共職業訓練を受講する場合は、基本手当のほかに、訓練を受講した日について技能習得手当が支給されます。また、扶養している同居の親族と別居して受講する場合は、寄宿手当が支給されます。
(3)高年齢求職者給付金
高年齢継続被保険者が失業した場合に支給されるのが、高年齢求職者給付です。短時間労働被保険者である高年齢継続被保険者とそれ以外の高年齢継続被保険者に分けられます。
―1.受給要件……次のすべてを満たす必要があります。
・離職により被保険者でなくなったことの確認を公共職業安定所で受けたこと。
・労働意思・能力を有するにもかかわらず、職業に就けない状態にあること。
・原則として、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して、6ヵ月以上あること。
(短時間労働被保険者の場合は2年間に実質12ヵ月以上)

―2.支給額……図表10

●高年齢求職者給付金
被保険者であった期間 高年齢継続被保険者
(*1)
高年齢短時間
労働非保険者(*2)
1年未満 30日分 30日分
1年以上5年未満 60日分 50日分
5年以上 75日分

図表10注
賃金日額上限額14,860円
基本手当日額上限額8,920円
(*1)同一事業主に65歳に達した日以後も引き続き雇用されている人。
(*2)短時間労働者である高年齢継続保険者。

ハ.就職促進給付
失業者の再就職を援助・促進するため、次の給付があります。
・再就職手当
雇用保険の受給資格者が基本手当を受給中に再就職した場合、一定の支給要件に基づき、次のとおり再就職手当が支給されます(図表11のとおり)

●再就職手当
所定給付日数 支給残日数 再就職手当 暫定措置
300日 200以上300日以下 120日分 +20日分
150日以上200日未満 70日分 +20日分
100日以上150日未満 30日分 *
240日 160日以上240日以下 90日分 +20日分
120日以上160日未満 50日分 +20日分
80日以上120日未満 30日分 *
210日 140日以上210日以下 85日分 +20日分
105日以上140日未満 50日分 +20日分
70日以上105日未満 30日分 *
180日 120日以上180日以下 80日分 +20日分
90日以上120日未満 50日分 +20日分
60日以上90日未満 30日分 *
90日 60日以上90日以下 45日分 *
45日以上60日未満 30日分 *

ニ.教育訓練給付
働く人の主体的な能力開発の取り組みを支援し、雇用の安定と再求職の促進を図ることを目的としています。
・教育訓練給付金
一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者(在職者)または、一般被保険者であった方(離職者)が労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了した場合、本人が教育訓練施設に支払った教育訓練費用の80%に相当する額(上限20万円)をハローワーク(公共職業安定所)から支給されます。
支給対象者・・・労働大臣指定の教育訓練終了者で次に該当する方
―1.在職者は受講開始日に支給要件期間5年間以上ある方
―2.離職者は一般被保険者資格喪失日以降、受講開始日までが1年以内で、かつ支給要件期間が5年以上の方

ホ.雇用継続給付
雇用継続給付は、「高年齢雇用継続給付」と「育児休業給付」及び「介護休業給付」に大別され、いずれも雇用保険の適用事業主に継続して雇用されている被保険者(在職者)に支給される点で、離職後失業した場合に支給される失業給付とは異なっています。

●雇用継続給付金のあらまし
給付金の種類 給付内容
高年齢雇用継続基本給付金 60歳以上65歳未満の高齢者について、各月に支払われた賃金の額が60歳時点の賃金額の85%未満となる場合に賃金額に応じて最高25%まで支給。賃金396,302円を限度。
高年齢再就職給付金 60歳以上65歳未満の高齢者について、再就職後の賃金が原則として60歳時点の賃金の85%未満に低下した場合に、賃金額に応じて最高25%まで支給。
育児休業基本給付金 満1歳未満の子を養育するための休業を取得した被保険者について、育児休業中の賃金が休業前の80%未満である場合に休業前賃金の20%を各月に支給。(上限99,060円)
育児休業者職場復帰給付金 育児休業基本給付の支給を受けた被保険者が、育児休業前と同じ事業主の下に復帰後6ヵ月間雇用された場合に休業前賃金の5%に育児休業月数を更じて得た額を一時金で支給。
介護休業給付金 対象家族(配偶者、父母、子、配偶者の父母)を介護するために休業する場合に、一定の支給要件をみたすと、休業開始前賃金の25%相当を各月に支給。(3ヵ月が限度)

(6)雇用保険のメリット

不幸にして失業したときの保障が一番のメリットと思われますが、育児休業などにより従来通りの収入を得られないときや、高齢により賃金額が減少した場合の保障としても活用できます。また失業給付を受給しながら技能講習なども受けられます。


5.労災保険
(1)労災保険のしくみ

労災保険は「労働者災害補償保険」といい、労働者が仕事や通勤途上にケガや病気をし、あるいは傷病のため障害が残ったり、死亡した場合、その補償を行うことを目的とした保険制度です。

(2)適用の範囲

原則として労働者を1人でも雇用している事業主は、労災保険に加入しなければなりません。業種は問いません。
対象となる労働者とは、正社員はもとより、パートタイマー、アルバイト、日雇いなどすべての人をさし、1日でも働けば労災保険の対象となります。

(3)保険料の負担

労災保険の保険料は、全額事業主(会社)の負担です。

●「給付基礎日額」とは
労働基準法の平均賃金に相当する額で、原則として、これを算定すべき事由の発生した日(例えば、ケガをした日)以前3ヵ月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総暦日数で除した金額をいいます。ただし、臨時に支払われた賃金や年3回以内の賞与等は除かれます。

(4)保険給付の種類

●保険給付の種類
こんなときは 給付の種類 保険給付額





労災保険指定(指名)医療機関等にかかったとき 療養保証給付(業務災害)
療養給付(通勤災害)
無料で診察が受けられる
非指定の医療機関にかかったとき 政府が必要と認めた額を支給する
障害補償(障害)年金又は傷病補償(傷病)年金の1級又は2級、で常時又は臨時介護を受けている 介護補償給付(業務災害)
介護給付(通勤災害)
常時介護107,100円を限度
随時介護53,550円を限度
傷病の療養のため休業し賃金を受けないとき 休業補償給付(業務災害)
休業給付(通勤災害)






1日について60%
療養開始後1年6ヶ月で治癒せず傷病等級に該当するとき 傷病補償年金(業務災害)
傷病年金(通勤災害)
1年間に1級313日分〜3級245日分
治癒したときに障害等級に定める身体障害が残ったとき 障害補償給付
(業務災害)
障害給付
(通勤災害)
年金 1年間に1級313日分〜7級131日分
一時金 一時金で8級503日分〜14級56日分
死亡したとき 遺族補償給付
(業務災害)
障害給付
(通勤災害)
年金 1年間に245日分〜153日分
一時金 一時金で1,000日分
葬祭料(業務災害)
葬祭給付(通勤災害)
30日分+305,000円
又は60日分

(5)特別支給金

特別支給金は、保険給付とは別に労働福祉事業として支給されるものですが、その種類は、休業特別支給金、障害特別支給金、遺族特別支給金、傷病特別支給金、障害特別支給金、障害特別一時金、遺族特別年金、遺族特別一時金及び傷病特別年金の9種類があります。